エリートのための「差別化」入門

エリートのための差別化入門

本当の意味での「差別化」とは?

ごく当たり前のことですが、あらゆる商売・ビジネスにおいて、お客さんが存在しなければ生き残ることはできません。そして継続的にお客さんから買ってもらうためには、自分が提供する商品やサービスに価値を感じてもらわなければならないでしょう。

同様に、エリートとして他者から認められ、出世していくためには自らの価値を周囲に認めてもらわなければなりません。つまり、他者とは「違う」ということを認識してもらわなければならないことになります。

そこで今回は、商品・サービスの「差別化」の方法を通じて、自分自身の価値を高める方法について考えてみましょう。「差別化」というと商品のマーケティングにおいて考えるべき事柄だと思われがちですが、自分自身を売り込む上でも欠かせない視点なのです。

「人並み」でいいのか、「こだわる」のか

クエスチョン「差別化」と聞くと、何だか難しそうなイメージをもつ人もいるでしょう。あるいは大学時代にマーケティングを勉強した人は、マイケル・ポーターをはじめとした様々な理論を思い出す人もいるかもしれません。

現代では、本当に多くのビジネス書や経営学に関する書籍で「差別化」についての理論の提唱や提言がなされています。ごく単純なものから、複雑な理論を語るものまで本当にいろいろあります。

しかしお客の視点で大きく分けるならば、差別化とは「人並み」の商品・サービスを安い値段で提供するのか、あるいは「こだわり」の商品・サービスを提供するのかの2択であるといえます。

サービス業などでは、お客さんを徹底して喜ばせることで他とは違う価値を与えるというアプローチをとるところもありますが、これもお客さんの感情の喚起に「こだわって」いるわけですから、結局のところ「人並みを安く」か「こだわり」のどちらかを価値として提供することに変わりはないでしょう。

特に中小企業など資本力のない企業にとっては、徹底的な「こだわり」を示すことで大企業にも負けない商品を提供することもできるようになります。

どの部分に「こだわる」のかが差別化のキモ

こだわり「こだわる」ということは、お客さんに対して他との「違い」をアピールするということです。

しかし、この「違い」にはいくつかの意味があります。

即ち、意図的に生み出された「違い」と先天的な「違い」です。当然ながら、お客さんに認められるためには、価値ある「違い」を自ら生み出さなくてはなりません。

つまりお客さんに「他とは違った価値」を認めてもらう必要があり、そのために周囲が真似できないような「独特」なものを提供しなければならないのです。

これを企業全体でいえば「競争優位性」といったりしますが、特に商品やサービスに関しては他者のやっていない部分に「こだわり」を見せることが、売れる商品を生み出すキモとなります。

成功した企業や個人ビジネスの多くがこの「こだわり」をもって差別化に成功し、その結果として大きな利益を上げることができているわけです。

差別化が失敗するとき

しかし時と場合によっては、よかれと思って行ったこだわりが裏目に出てしまうことがあります。たとえば、とりわけ競争が激しい業界といわれるネット業界について考えてみましょう。

アプリインターネットが生活の基盤として定着してからもう何年にもなります。一口にネット業界といっても広いですが、特にコンテンツ業界ではこれまで本当に様々なアプリケーションが登場してきました。

長い間手作業で面倒だった仕事を一気に片付けてくれる機能や、直感的でわかりやすいUI(ユーザー・インターフェイス)をもつアプリは、時に私たちの仕事を驚くほどスピードアップさせてくれることもあります。

今でも次々と新機能が追加され、これまで考えられなかったような高度な使い方ができるようになってきました。本当に沢山の便利機能がついています。

それは本当に「差別化」といえるか?

しかし日頃からパソコンでネット検索をしたり、仕事で様々なアプリケーションを利用している人のなかには、こんなことを思ったことがある人もいる筈です。

「これは一体、何のために必要なんだろう・・・?」とか「何のための機能なんだろう?使う機会なんて見当たらないけど・・・」などなど。

混乱こういったユーザーにとって「余計な」機能は、商品の価値を高めているというよりは、むしろ使う側にとって混乱の種となります。

購入した時点で既にインストールされてはいるものの、使い方が一向にわからないどころか、そもそも何のために付いているのかがわからない・・・。少し意識してみると、本当に多くのアプリケーションでこういった「無駄」があることがわかります。

特にスマートフォンのアプリなどでは、こういった余計な機能にイライラした経験をもつ人が多いのではないでしょうか?

ひどい場合には、そういった「いらない機能」がメモリを圧迫したりすることで、全体の挙動が遅くなってしまったりすることがあります。わかる人にはわかるのでしょうが、ごく限定的な使い方しか必要としない一般ユーザーにとっては邪魔以外の何者でもありません。

差別化という「自己満足」

残念ながらこういった余計な機能の多くは、提供側のただの自己満足である場合が多いのです。ライバルとの差別化を意識するあまり、肝心のお客さんであるユーザーにとって何の価値もないどころか、むしろマイナスの印象を与える方向に働いています。

タブレット前項でも述べたように、本当の意味での「差別化」とは、お客さん(ユーザー)に対してこれまでとは違う価値を提供することです。

単純に色々な機能を追加すればよいというものでも、売り手が勝手に考えた便利機能を付加すればよいというものでもありません。あくまでも買う側・使う側が価値を認められるものでなければ余計な機能でしかないのです。

これは昔から「顧客視点」という言葉を通じて繰り返し言われていることなのですが、業界によってはいまだにクリスマスツリーの装飾のように、単純に機能を追加することで差別化と考えている売り手が存在するのです。

無論、こういったアプローチは完全に間違った差別化です
一方、少し周りを見渡してみると、そういったお客さんにとっての価値を上手い具合に付加することで差別化を成功させている人々もいることに気づきます。

それをお客は求めているのか?

たとえば家電業界などは、これまでになかったような機能を商品につけることで数々の売れる商品が生み出されてきました。しかし売り手が一方的に機能を考え出したのではなく、その前提として綿密な顧客調査があるのです。

たとえば炊飯器にはかなり昔から「早炊き」機能がついているものが出回っており、通常の炊き方よりも食味の面で少し落ちることもありますが、朝が忙しい人にとっては重宝する機能となっています。また、最近の電子レンジには「全解凍」や「半解凍」といった、食材によって解凍の具合を分けられる機能が付加されていたりします。

これらはいずれも事前にお客さんのことを徹底的に調べ、綿密な販売戦略を立てた上で付加された機能といえます。いずれの機能もお客さんにとって価値があり、ヒット商品のきっかけとなりました。家電にはこのような多くの細かい機能がついていますが、どれも使う側にとって便利なものばかりです。

こういった機能を「付加価値」といいますが、お客さんにとって価値があり、同時に他のライバルが提供していないモノであると認知されて初めて差別化が成功したといえるでしょう

お客さんが喜ぶ商品がよい商品であり、いらないと思う商品は悪い商品だといわれますが、同じように使う側が喜ぶ差別化がよい差別化であり、いらないとか邪魔だとか思われる差別化に価値はないのです。その基本は何度繰り返しても言い過ぎということはありません。

自分自身の「差別化」をするには?

それでは前項までの教訓を通して、自分自身を「差別化」して市場価値を高めるにはどうすればよいのでしょうか? エリートを目指す人にとって、自分の価値を周囲に認めてもらうことはとても重要なことでしょう。

ビジネスマンビジネス書などでは「あなたの市場価値は何ですか?」といったような質問が頻繁にされることがあります。

生来向上心が強く、常日頃から自らの価値について考えている人ならば即答できるかもしれません。しかし大多数の人は、このような質問をされても自信をもって答えることができないのではないでしょうか?

それだけ自分の価値を認知させるのは難しいということでもあり、逆にいえばチャンスでもあるのです。

既に述べたように、他と差別化することで価値を認めてもらうために重要なのは、ある一面に徹底的に「こだわる」ということです。そしてそれはお客さんにとって価値あるものでなければなりません。これが商品ならば誰よりも安く提供するというアプローチも考えられますが、自分自身が対象である以上は「安売り」するのは論外でしょう。

繰り返しになりますが、あくまでも自分が活躍するフィールドにおいて、自分の「お客さん」となる人にとって価値ある方向に差別化の軸をもたせることが重要です。そうでなければアプリの余計な機能のように、相手にとって無用の長物と化してしまいます。

しかし他者と比べて「自分には突出した価値なんて何もない!」という人もいるでしょう。むしろ、自らを平凡であると感じる人の方が多いのかもしれません。しかしそれでも、差別化という戦略には価値があるのです。

自分自身が「オンリーワン」である必要はない

商売の世界では「お客さんはモノを通してヒトを見る」と言われます。

事実、お客さんの多くは商品そのものの価値はもちろんのこと、それ以上に「誰がそれを売っているのか」を重要視するのです。それが「ヒトを見る」の意味です。

そしてこれは「逆もまた真である」ともいえるのです。お客さんは「ヒトを通してモノを見る」ことも有り得るのです。これは非常に重要なことです。

商談つまりあなたが扱う商品やサービスの価値には、それを提供する「あなた自身」も含まれているということなのです。
ですから、よりより商品やお客さんにとって的を得た商品・サービスを提供することで「あなた自身」の差別化の一助とすることもできるのです。

もしあなた自身に絶対的な価値がなかったとしても、あなたの扱う商品・サービスの質を磨くことによって、あなた自身が相手にとっての価値の一部となるということです。

セールスマンは「自分自身」を売っている

売り手に好意を感じれば、お客さんは他に魅力的な選択肢があったとしても、きっとその人を選ぶでしょう。仮にそれが割高だったとしても、売り手自身にそれ以上の価値があると感じるわけです。歩いて5分程度のコンビニに行かずに、わざわざ何キロも離れた行きつけの個人商店に多くの人が出掛けていくのはそういう理由です。

初めは売っているモノに惹かれたとしても、それを提供してくれるヒトの魅力によって、お客さんをリピートさせることができます。商品自体よりも「この人から買いたい!」と思うようになるからです。

これは言い方を変えれば、商品やサービスの価値の一部に売り手自身も含まれているということになります。それが独自の「売り」となって、お客さんを惹き付けるわけです。そしてそれは他の誰かに模倣されることはありません。その人自身がオンリーワンだからです。真似のしようがありません。

商品やサービス自体を核とした差別化は容易に模倣されるでしょう。しかしその一方で、人を中心とした差別化はまず真似されることがないのです。自分を売り込むにあたって、この性質を利用しない手はありません。

たとえば日頃からお客さんと良質なコミュニケーションをとる必要があります。自分がどういう人間なのか、あるいはどういった目的でビジネスをしているのかなど、自分のことを効果的に伝える技術を学ぶことも、長い目でみれば自身の差別化の一助となるのです。

差別化の基本はヒトである

営業「差別化」というと、どうしても商品やサービスそのものを中心に「どういった部分でこだわるか」とか「どういう価値を付加するか」といった視点に囚われがちです。そういった部分に力点を置いた書籍や理論がほとんどだからです。

しかし結局のところ、人がモノを買うのは人からです。商品だけではなく、売る人自身も商品の一部であるという視点が非常に重要となるのです。

お客さんにとって「モノ+売り手」こそが商品です。それは自分自身の価値を認めてもらう上でもとても大事な考え方でしょう。皆さんも、一度こういった考え方に基づいて差別化を捉えてみることをお勧めします。

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