あなたの「強み」、きちんと生かせていますか?

あなたの強みきちんと生かせていますか

「才能」や「強み」を正しく理解する

才能

ビジネスでは自分自身の「強み」をよく理解しておくことで、そうでない場合に比べて圧倒的な成果を上げることができるといわれます。
これは能力開発などの分野で次々と明らかにされていることであり、多くの成功した人々が語っていることでもあります。しかし一口に「強み」といっても、人によって定義や考え方は様々なようで、これといった明確な答えはないという人すらいます。

そのためか、多くの人が自分の「強み」を正しく認識できていないといわれているのです。自分で「強み」だと思っていることが客観的にみれば決してそうではなかったり、自分では大した強みではないと思っていることが、実は大きなアドバンテージになっているということもよくあります。

実は、その原因のほとんどは自分の「才能」と「強み」の関係についての誤解から生じており、そのために多くの人が自分の本当の「強み」を活かしきれずにいるのです。
そこで今回は私たちの持つ「才能」と「強み」の関係について取り上げ、本当の「強み」を作り上げる方法について考えます。

あなたはゼネラリスト?それともスペシャリスト?

ビジネスの世界で「ゼネラリスト」か「スペシャリスト」のどちらになるべきか?という質問がされることがあります。人によって意見や考え方は千差万別かもしれませんが、急激な変化に適応していかなければならない現代において、自分が「どういう価値を提供できる人間になるのか?」という問いは非常に重要なものでしょう。

スペシャリストを明確に定義するならば、ある特定の分野における専門的な知識を持ち、その分野において他では真似のできないような仕事をする人間といえます。
一方、ゼネラリストは複数の分野で広い知識をもち、それらを総合的に駆使して様々な場面で一定以上の活躍のできる人材といえるでしょう。

自分がどちらの人間になるべきか、あるいは自分に合っているのはどちらなのかを正しく知っておくことは、ビジネスシーンだけではなく、生活全般において自分にとって好ましいライフスタイルを構築するうえでも大いに役立つでしょう。自分の目指す方向によって慎重に選ぶべきです。

ただしビジネスにおいては、これらいずれの側面も要求されることが多々あるのではないでしょうか?

特定分野のスペシャリストでも一定以上の汎用知識は必須ですし、広く通用するスキルを持っている人でも、一つの分野で深い知識や洞察を求められることもあるでしょう。
特に積極的にキャリアアップをはかろうとする人にはその傾向が顕著でしょうし、それぞれの立場に従って役割が変わっていくことも十分考えられます。

いずれにしても重要なのは、ゼネラリストあるいはスペシャリストのどちらの方向を目指すにしても、自分自身の先天的な強みや才能を認識しておくことです。

日本人は自分の「強み」がわからない?

ガッツポーズ2ピーター・ドラッガーは「多くの経営者は自分の強みを知らない」という主旨の発言を、その著書『経営者の条件』のなかでしています。起業家や経営者が自らの「強み」を活かしきれず、それが経営の障害となっているということです。

これは別に企業を経営する立場の人だけでなく、今現在企業に勤める人でも、はっきりと自分自身の強みを具体的に答えることの出来る人は少ないのではないでしょうか?

特に日本人はいまだこういったことが苦手なようで、面と向かって「あなたの強みは何ですか?」と質問されると「特にありません」と答えてしまう人が多いことが指摘されています。
ただ、ビジネスシーンにおいてこういった受け答えは無責任とみなされてしまう可能性もあるので、はっきりと「わからない」と答える人はプライベートな状況に比べて少ないのかもしれません。

しかしそれでも、はっきりと自信をもって自分の「強み」について語ることのできる人はそれほど多くはないようです。なかには積極的に「強み」を語る人もいるようですが、その内容には若干の「ズレ」が目立つといいます。

たとえば、これはキャリアカウンセラーの多くが指摘していることですが、自分自身の「強み」について述べている筈の人が、いつの間にか自分の「経歴」の話になっていたり、肩書きを自慢する発言に変わっているような人がかなり多いそうです。しかも当の本人はその違和感に全く気づいていないことがほとんどだとか・・・。

私たちは「弱み」だけを改善するように迫られてきた!?

これは笑い話のようにも感じられますが、私たち日本人はどうしても自らの「強み」を伸ばすよりも「弱み」を克服することが推奨される社会に生きています

今も昔も、生徒達が受け取る「通信表」は得意分野をどう活かすかというよりも、欠点や落ち度をいかに改善していくかに焦点が当てられることがほとんどでしょう。学生時代に先生の辛口コメントに凹んだ思い出のある人も多いのではないでしょうか?

基本的に学校教育では自らの「弱み」を改善することが推奨され、生徒達の「強み」を引き出し、伸ばしていくための施策が提示されるようなことはまずありません。そういった環境が主だったわけですから、大人になってから面と向かって「あなたの強みは何ですか?」と聞かれると困ってしまう人が後を絶たないわけです。

そして多くの人は大学時代を経て、いざ就職活動という段になって「自己分析」などの過程ではじめて自らの「才能」や「強み」というものと向き合うことになるのです。

しかし、生まれながらの長所や幼い頃から培われてきた「強み」というのは自分にとっては至極当たり前のものなので、それが客観的なものであるとはなかなか気がつくことがはできないものです。そういう意味でも、私たちは自分の「強み」に気づきにくい環境にいるのだということを認識しておくべきでしょう。

そのうえで、日頃から自分の「強み」について自分なりに明確にしておく必要があるのです。

どこを目指すにしろ、自らの「強み」は認識しておかなければならない

分かれ道はじめの項で「ゼネラリストかスペシャリストか」という、些か極端な分類をしましたが、どちらを積極的に目指すとしても、自分自身の「才能」や「強み」を明確に認識しておくことは非常に役に立ちます。

何らかの分野でスペシャリストを目指す場合は、自らの得意な分野や才能を発揮できる分野を発見することが成功の秘訣であるといえます。

一方、様々な知識・スキルを学んで手広く活躍できるような存在になるにしても、自らの「核」となる強みを認識しているのといないのでは、長期的にみると明らかな差がついてしまうのです。

たとえば能力開発の分野では、自らの「才能」や「強み」の周りに有機的に絡ませるように知識やスキルを蓄えていけば、手当たり次第に知識を収集するよりも何倍も効果があることがわかっています。

いわゆる「ゼネラリスト」が「広く様々な状況に対応できる知識や技術を有する人」を意味するとしても、人間一人ひとりはそれぞれ違った才能や強みをもっているものですから、それを中心に知識や技術の体系を構築していけば、ただ闇雲に知識を吸収するよりも高いパフォーマンスを発揮できるということです。

当然、強みを意識するあまりに弱点を完全に放置していいというわけではありませんが、それでも自分にとってより効果的な活動を中心にする方がよりより結果をもたらすことは、多くの人が体験として語っています。

自らの活躍できる舞台を見つけた教師

講師

たとえばある予備校の講師は、学生時代に小学校の教師になるのが夢でした。しかし教育実習で沢山の子供達に囲まれることが非常に苦痛であることに気づいてしまったのです。

子供達に尊敬される教師像を思い描いていた彼は、実地に体験してみなければわからない現実があることを知りました。

彼は長い時間をかけて自らを見つめ直し、何かを教えるという行為はとても好きだが、幼い子供と接することは本能的に苦手なのだということに気がついたのです。

そして相手がある程度大人ならば、彼は誰にも負けない教鞭を振るうことができると自信をもっていえることにも気づきました。

そこで、小学生ではなく高校生相手に教鞭を振るうことのできる予備校講師として就職し、今では有名講師として知られるようになりました。高校教師として赴任することも考えたそうですが、彼はより「教える」という行為に特化できる道を選んだのです。

もし彼が自らを見つめ直すことなくそのまま小学校の教諭として勤務していたならば、現在のような充実した生活はなかっただろうと彼自身が語っています。
彼は教育の「スペシャリスト」なわけですが、それでも自分自身をよく見つめ直すことで、より自分の能力を発揮できる場所を探し当てたのです。

これは決して珍しい例ではありません。数多くの人が人生のいずれかの時点で自分を見つめ直し、自分に合った「舞台」へと上っていきます。
ただ、自分自身の「強み」が明確になっているのといないのとでは、自分に合ったキャリアを積んでいくうえで、どうしてもスピード面で差がついてしまうのです。

「才能」や「強み」とは具体的に何なのか?

それでは具体的に「才能」や「強み」とはどういったものなのでしょうか?
冒頭でも述べましたが、人によって考え方や定義もそれぞれでしょう。これといった誰もが認める定説などないのかもしれません。

将棋ですが、成功者とされる多くの人々は「継続すること」や「続けること」こそが「才能」そのものだったり、あるいはそれに類するものであるという発言をしています。

たとえば松下幸之助さんは生前「才能は万能ではなく、意思と根気こそが万能である」という主旨の発言をされていますし、将棋名人の羽生善治氏は「才能とは、継続できる情熱である」と発言されています。

また、自分が「やるべき事」や「やりたい事」がすぐにわかる分野こそ、才能が発揮できる分野だという人もいます。

かの北野武監督は、かつて才能のある人について「どの(分野の)仕事を選ぶべきかがわかることができる人」といっていますし、自らの「できない事」を取り除いていけば自分の才能を発揮できる分野が残るなんていう人もいるのです。

このようにいわゆる「成功者」と呼ばれる人々でも、それぞれに違った視点で「才能」や「強み」というものを語っています。まさに「千差万別」といえるでしょう。

「ビジネス心理学」や「リーダーシップ論」における「才能」や「強み」とは?

では少し学術的な側面から「才能」や「強み」について考えてみましょう。特に「ビジネス心理学」や「リーダーシップ」に関する研究では、これらはどういう位置づけになっているのでしょうか?

一例を挙げると、著名なコンサルタントで作家でもあるマーカス・バッキンガム氏とドナルド・クリフトン氏は、その著書『さあ才能(じぶん)に目覚めよう(原題:Now, Discover your strength )』のなかで、『才能』『知識』『技術』の言葉の定義を明確にし、それらを関連付けることで人間のもつそれぞれの「強み」を明確にしています。

彼ら曰く、『才能』とは

『(無意識に)繰り返し現れる思考、感情および行動パターンであり、何かを生み出す力を持つ資質』(前掲書『さあ才能(じぶん)に目覚めよう』、日本経済新聞出版社、2014年、56頁)

ということです。

2人の定義に従うならば、ある分野に才能ある人というのは、その分野においてほとんど無意識のうちに「成功パターン」を繰り返すことのできる人ということになります。

同様に、『知識』とは

「学習と経験によって知り得た真理と教訓」(前掲書、34頁)

であるとしており、『技術』とは

「行動のための手段」(前掲書、34頁)

であると彼らはいいます。

そして「才能」「知識」「技術」の3つが自分のなかで組み合うことで、はじめて「強み」となるとしているのです。

これらのことから、私たちのもつ「強み」とは、自分の才能を正確に把握して、さらに知識と技術によってその才能を磨くことによって得られるものであるといえます。

才能は先天的なものですが、人生経験や教育、そして自分自身で磨き続けてきた技術によって研ぎ澄まされていくわけです。
後天的な技術や知識を使って先天的な考え方や直感、行動パターンである才能を強化することで「強み」といえるものが出来上がるのです。

元来別々の概念として語られることが多いですが、「才能」も「後天的な能力」もどちらも「強み」の要素であり、これらが相互に補い合って初めて突出した成果を継続して挙げられるようになると考えるべきでしょう。ですから、まずは自分の「才能」について再確認し、それを「強み」として育て上げるというプロセスを戦略的に考える必要があるのです。

あなたがほとんど無意識のうちに「成功してしまう」分野は何でしょうか?初めはどんな些細なことでも構いませんから思い出してみましょう。決して他者と比較して「一番」である必要はありません。あくまでも自分のなかで成功してきたことを思い出し、それを「強み」として醸成させればいいのです。

戦略的に「才能」を活かす

戦略様々な分野で秀でた存在になるには、これまで述べてきたような「強み」を最大限に活かすということがとても重要となります。それは、あなたがほとんど無意識のうちに周囲と差別化をはかることのできる分野だからです。

ですが単に自分の「強み」をはっきりさせ、それを活かせる環境を積極的に作り上げるとしても、自らの「弱み」や「不得意」を完全に放置したまま仕事をしていれば失敗してしまうこともあるでしょう。

問題なのはその弱点をいかにして補うかということですが、一部の人はここで「勘違い」をしてしまいます。それはいわゆる「完璧思考」の人に多い考え方で、とにかく自分自身から「弱み」をなくし、完全無欠に少しでも近づこうとしてしまうのです。

本当に多くの人がこの「落とし穴」に嵌まり込んでしまい、思うような成果を上げられずにいます。

「完璧思考」の落とし穴

よく「完璧な人間などいない」と言われますが、完璧思考の人々は頭ではそれを理解していても、自分にどこか欠けた部分があることが気になって仕方がありません。

そこで自らの短所を補うべく、週末にセミナーに出掛けていったり弱点分野に関する書籍を読み漁り、とにかく完璧になろうと努力します。そして様々な方面にエネルギーを分散させた結果、肝心の「得意分野」で十分な力を発揮することができなくなってしまうのです。

これはいかなる職業の人であっても陥る可能性のある思考といえます。むしろエリート志向の強い人ほど、この「落とし穴」に嵌りやすいので注意が必要だといえるでしょう。「完璧」を目指すあまり何一つ満足にいかず、過度にフラストレーションを抱えてしまう人が後を絶たないのです。

確かに自らの「弱み」を無視してはならず、しっかりと補わなければなりません。しかし、だからといって自分だけで全てを解決しようとしてもいけません
口では「わかっている」と言う人は多いでしょう。しかし結局は自分で全てを抱え込んで途方に暮れている人が、どの組織にも必ず一定数存在するものです。

事実として、沢山の中小企業の経営者が「完璧思考」に陥った結果、自分ひとりで全てを解決しようとして失敗しているという研究結果もあります。

「弱み」は一人では解決できないことが多い

たとえばアメリカのある調査では、ビジネスを立ち上げた本人が自分の「弱み」を一人で解決しようとした結果、それを補うことができずに倒産の憂き目に遭っているという報告をしています。

つまりビジネスの失敗のほとんどが、トップの人間が自らの「弱み」自体に気づくことができないか、気づいたとしても自分だけで何とかしようとしてしまうことが原因になっているのです。自分の「弱み」自体を全く認識していないというのは論外でしょう。ですが、たとえ知っていたとしてもそれを補うことができなければ、結局同じことというわけです。

協力そして、自分のあらゆる短所や欠点を逐一自分だけで補うことができるほど、ビジネスのスピードは緩くはありません。とかく中小零才企業ではそうでしょうし、規模の大きな企業でもそう変わることはないでしょう。

そこで重要になってくるのが、自らの「弱点」をうまく補ってくれる他者と、いかに強力なパートナーシップを築くかという視点です。

パートナーシップの重要性

仕事や人生全般における正しい戦略とは即ち、自らの「強み」を最も活かせる事柄をいかに効率的に行うかを考えることであるといえます。そして苦手な分野や一定以上のパフォーマンスを発揮できない分野は、それができる人に任せてしまう方がよいのです。

それができずに自分にとって重要でない仕事まで無理に抱え込んでしまった結果、ビジネス全体が失敗に終わってしまう人が後を絶ちません。それは多くの調査で既に明らかになっています。

あるコンサルティングファームによると、多くの中小企業の経営者やビジネスオーナー達が、仕事における本当に些細な問題や利益とは無関係な作業に時間を無駄にとられてしまっているそうです。そしてたいていの場合、それは経営者の「苦手分野」に関する仕事なのだといいます。

つまり、彼らは自分の「強み」が何かわからずに闇雲に目の前の作業に没頭してしまった結果、ビジネスにおいて本当に重要な仕事が疎かになってしまっているということです。そういった「無駄な」作業が積み重なって、最終的にはビジネス全体の失敗に繋がるわけです。

一度立ち止まって考えよう

時間の無駄を減らし、これまで以上にパフォーマンスの高い仕事をするためには、自分の「強み」を最も行かせる分野に特化して、他の部分や自分の「弱点」が関わる仕事は、なるべくそれが出来る人に任せてしまうことが必要です

これこそがビジネスだけでなく、人生全般にもいえる成功の鍵といえます。

そして自分の可能性を十分に発揮できる分野を正しく認識するために、日頃から自らの「強み」を理解しておくことは非常に重要です。「強み」とは、生来の「才能」を正しい「知識」と「技術」で磨き上げたものに他なりません。自らの「才能」を発見し、それを長い時間をかけてじっくりと育てる必要があるのです。

ですから、いまだ自分の「強み」がよくわかっていないという場合は、まずは自分の「才能」がどこにあるのかを見極めなければなりません。それには時間をかけて過去を振り返ってみることが必要です。特に目の前の仕事に忙殺されてしまい思うように結果を出せていない人は、いちど自分の「才能」がどこにあるのかを確認し、それを「強み」にまで引き上げるにはどうすればよいのかを考えましょう

繰り返しになりますが、他者と比較して一番である必要などありません。あくまでも自分自身のなかで比較的楽に成功パターンを導き出すことのできる分野を探せばよいのです。すぐにはわからなくても、時間をかけて徐々に絞り込んでいきましょう。そういった才能の片鱗を調べるテストなども存在するので、利用してみるのもよいでしょう。

そうして育て上げた「強み」こそが、私たちを成功へと導いてくれる最も強力な武器となるのです。

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